レポート-日本の雇用システムの特徴と課題

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2021年10月27日22:13:56 评论

日本の雇用システムの特徴と課題

 

1    はじめに

企業別組合、終身雇用、年功制は、日本的経営における「三種の神器」と呼ばれている。このような言い方は、1972年に刊行された『OECD対日労働報告書』において初めて取り上げられた。これは、日本経済の高度成長を遂げ、その原因を日本企業ならではの雇用システムに求めていた背景の下で生まれたものである。

日本の雇用システムは、その「中核」である日本的雇用システムとそれを支えるさまざまなサブシステムによって構築されている。日本的雇用システムとは、主として長期安定雇用慣行、年功的処遇(勤続年数をベースとする昇給と昇進)、企業内職業訓練、および企業別労働組合の対象となる「コア従業員」(男性正社員)を対象に構成される内部労働市場を指す。その一方で、コア労働者とは異なる人事管理システムの対象者であるパートタイマー、契約社員、派遣労働者、請負労働者などの非正規雇用を対象に構成されている外部労働市場は、サブシステムとして定義されている(厳2014:3)。

ところが、1990年代バブル経済が崩壊した後に、日本経済は持続した経済低迷に陥っている。日本企業は、その収益率が圧迫されたことに加えて、グローバルな経営環境も変ってきた。こうした現実を踏まえて、日本的雇用システムが様々な問題点が露呈し、そもそも「三種の神器」が日本企業の生産性向上を阻んだ要因となったというような批判も出てきた。既存の制度の根本的変革を提唱する声も聞こえるようになった。したがって、本論では、日本の雇用システムの課題を取り上げて、日本の雇用システムの特徴、直面している困難、改革の方向及びその問題点をめぐって、議論を展開する。

2    先行研究

日本の雇用システムに関しては、これまで、経済学、経営学、制度社会学といった諸分野において優れた研究成果が蓄積してきた。例えば、Paul Milgrom, John Roberts著,奥野正寛ほか訳の『組織の経済学』は、ミクロ経済学の視点から、企業の賃金制度、従業員のモチベーション、人的資本投資といった企業の雇用制度の課題を議論している。経営学分野では、人的資源管理をキーワードとして、白木三秀によって編集された『人的資源管理の基本(新版第2版)』(文真堂,2015年)など、数多くの優れた研究成果と教科書が刊行されてきた。また、近年、日本の非正規雇用の拡大は、格差や、雇用の不安定など深刻な社会的問題をもたらしたため、この課題を取り上げた先行研究も増えている。例えば、有田伸氏の『就業機会と報酬格差の社会学:非正規雇用・社会階層の日韓比較』(東京大学出版会,2016年)、鶴光太郎ほか編著の『非正規雇用改革:日本の働き方をいかに変えるか』(日本評論社,2011年)があった。

3    日本的雇用システムの特徴

ここでは、日本の雇用システムの「中核」である日本的雇用システムの4つのポイント、すなわち企業別労働組合、長期安定雇用慣行、年功的処遇と企業内職業訓練をそれぞれ説明しておく。

3.1   労使協調

日本的雇用システムが根拠する長期安定雇用と労使協調の伝統は、戦後復興期と高度経済成長期の初期に頻繁に見られた敵対的な労働争議から協調的な労使関係への転換過程で形成された。敵対的な労使闘争は、経営側と労働者側の両方に大きな損失をもたらした。そのため、その経験をもとに協調的な労使関係が指向されるようになった。

欧米先進国では、産業レベルないし職業レベルの組合を単位組合として、その上部組織である連合体組織すなわちナショナルセンターが国レベルで作られる。企業レベルの組合は、単位組合の支部組織として設置されている。これと異なって、日本では、企業レベルの組合すなわち企業別組合が単位組合である。産業別レベルないし国レベルで作られた上部団体のから、ほぼ完全な主権または自治権を持っている(福井2015:101)。そのため、欧米の産業別労働組合と比べれば、日本の企業別労働組合は、企業において活動が容易である一方、経営と癒着しやすい性格を有する。

3.2   終身雇用

日本的雇用システムのなかで、終身雇用といわれる長期の雇用が保証されると同時に、従業員を職歴のほとんどない段階で採用するという政策も採られている。つまり、中途採用の道をほぼ閉じ切ることとなった。これは、経験のある中堅層にとってはほかの企業に魅力ある仕事の機会がないことを意味している。

このように、大企業からの転職機会が限られていることが、従業員を引き止めておくことを容易にしている。また、従業員にとっては、よりよい転勤先の見つかった機会が少ないため、転勤機会を求めるに要するコストを省くこととなる。

3.3   賃金制度

下図は、後払い賃金と呼ばれる年功的賃金カーブを描いている。その上に、小林ほか(2014)では、賃金構造基本統計調査のデータを企業規模別に勤続年数と年収との関係を集計すれば、大企業ほど年収プロファイルの傾きが大きく、小企業ほどなだらかであることが分かる。

 

出所:小林ほか(2014),63ページ,図6。

 

年功賃金は、「職能賃金」の具体的な制度的表現である。職能賃金とは、労働者の職務遂行能力に応じて支払われる賃金一般であり、その具体的な賃金額の決定にあたっては、あらかじめ定められた等級表、いわゆる「職能等級表」が想定される(石水2013:21)。

3.4   人的資本への投資

人的資本とは、ほかの企業において活用できる汎用的人的資本と、特定企業でしか価値のない、いわゆる特殊的人的資本と大別されている。

従業員からみれば、企業特殊的スキルを習得するにはコストが高いが、転勤すれば転勤先において価値が全くない。そのため、企業特殊的スキルを習得する意欲がない。一方、企業側からみれば、従業員が高額の報酬を得るためにほかの企業に転勤すれば、本企業で習得した汎用的人的資本を利用できるため、従業員への汎用的人的資本投資を行うインセンティブがない。

ところが、長期雇用が保証されるのであれば、労働異動率が極めて低い。こうした場合では、企業がOJT(On-the-Job Training)を実施して従業員のスキルを育成したり、従業員が企業特殊的スキルを習得したりするリスクが低下し、容易になると考えられる。

4    日本の雇用システムの改革

4.1   背景

1990年代初頭、バブル経済の崩壊は、日本経済と日本企業の経営に至大な影響を与えた。日本企業が高い収益率を確保することは困難になる。それに加えて、グローバリゼーションにしたがって、日本企業の経営環境も変った。例えば、90年代末の金融危機を経て流動的株主(海外投資家、投資・年金信託、個人など)と固定的株主(市中銀行、事業法人など)の持ち株比率の逆転が起き、2000年代に入ってからは流動的株主の株式持ち比率が過半数を占めるようになった(厳2014:11‐12)。株式市場の流動性が拡大しつつあり、配当やキャピタルゲインを重要視する株主は経営業績により大きな圧力を与えている。また、外資系企業の日本進出につれて、職務制限の労働契約や、成果主義賃金制度や、中途採用など、欧米企業の雇用慣行が日本の雇用システムを動揺するようになった。

上述した変化に対応するため、日本企業にとっては、人件費削減が重要な課題となった。ところが、日本的雇用システムのなかに、中途採用がほぼ取られていないため、従業員を解雇すれば、従業員の生涯キャリアと生涯所得に至大な影響を与える。そのため、容易に従業員を解雇する企業は、日本社会においてその評価が低下する恐れが大きい。そうすれば、学卒採用の際に、優秀な人材の確保が困難になることはいうまでもない。

4.2   改革の方向

大企業や大手製造業などでも、早期退職制度の一般化など選抜の傾向が見られる。また、新卒を対象にしては、正社員の採用を削減すると同時に、非正規雇用を拡大するという施策もあった。正規雇用の割合は、1990年以降の20年間で、1991年の80%から2013年の63%まで大幅に低下した。その一方で、非正規雇用者数は、1991年の897万人から1,870万人まで、約2倍に拡大し、雇用全体に占める割合の増加傾向が続いている(厳2014:14)。

しかし、こうした改革は、日本的雇用システムから除外される労働者の増加につながっている。これは、単なる雇用と所得の不安定性の増加だけではなく、技能形成システムや、社会保障システムへのアクセスを困難にし、非正規雇用の困窮化、正規雇用労働者との格差の硬直化をもたらす(厳2014:5)。

5    終わりに

終身雇用、学卒採用、年功的賃金、OJTによって構成された日本的雇用システムは、各要素が影響しあっているため、単なる1つの要件を改革すれば、期待できる効果が得られないと考えられる。日本企業は、新しい経営環境に応えるため、男性正社員を対象にして従来の日本的雇用システムを採る一方、非正規雇用を活用する傾向が明確である。ところが、こうした改革は、産業別、企業規模別でみればその進捗も異なっている。小林ほか(2014)では、大学生の早期離職と転職先を企業規模別でみれば、離職も転職受入も少ない大企業群と離職も転職受入も多い中小企業群とのに分けられていることが確認された。また、産業別でみれば、「教育・保育」、「金融・保険」、「製造業」などの産業において、伝統的な日本型雇用システムは依然として根差しが強い。一方、「サービス業」をはじめとする離職率も転職受入率も高い産業においては、「使い切り型」の採用・雇用システムが採られる傾向が明らかである。また、「マスコミ・広告・コンサルティング」をはじめとする離職率は高いが転職受入が少ない産業では、いわゆる「ふるい落とし選抜型」の雇用システムが採られているといえよう。

こうして日本の雇用システムの改革が進んでいる間に、正規雇用と非正規雇用との壁の高さや、処遇の格差の拡大などの課題も見過ごすことができない。

 

 

 

 

参考文献

  • Paul Milgrom, John Roberts著,奥野正寛・伊藤秀史・今井晴雄・西村理・八木甫訳(2007)『組織の経済学』NTT出版,389-392ページ。
  • 小林徹・梅崎修・佐藤一磨・田澤実(2014)「大卒者の早期離職とその後の転職先:産業・企業規模間の違いに関する雇用システムからの考察」『大原社会問題研究所雑誌』第671・672号,50-57ページ。
  • 厳成男(2014)「日本的雇用システムを支える企業主義的レギュラシオンの衰退とフレキシキュウリティ」『新潟大学経済論集』第97号,1-24ページ。
  • 八代充史(2013)「組織フィールドの変化と日本的雇用制度:『戦略人事論』、『外資が変える日本的経営』、『雇用システムの多様化と国際的収斂』を通じて」『三田商学研究』第56巻第2号,23-28ページ。
  • 石水喜夫(2013)「職能賃金再考:シンポジウムの開催とその成果」『経済論叢』第187巻第2号,21-30ページ。
  • 福井直人(2015)「日本的労使関係の史的変遷および今後の展望」『北九州市立大学商経論集』第50巻第1-4号,97-124ページ。
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